スマートフォンの急速な広がりを背景に、「事前に調べた上でショップに来店する」など、お客様の購買行動も変化しつつあります。そこでこの記事では店舗スタッフ用の業務端末としてiPod touchを導入し、接客力向上に成功した東急ハンズの事例をご紹介します。
スマートフォンの急速な広がりによって、事前に調べた上で ショップに来店されるお客様も増えてきました。
「ネットで見たこの商品はありますか」「ここに取り扱いがあるとネットで見たのですが」というお問い合わせを店頭で受けることも多いのではないでしょうか。
しかし店頭専用端末では検索ができなかったり速度が遅かったりして、お客様の質問やご要望にお応えできなかったという店舗の機会損失も起こっています。
そこで今回は店舗スタッフ用の業務端末として3000台以上のiPod touchを導入したことで接客のロスタイムを大幅に削減し、接客力向上に成功した東急ハンズのiPod touch・iPad活用法についてお話を伺ってきました!
6/7にApple Store銀座で開催されたApple Storeイベント「ビジネスに使うiPod touchとiPad:小売業での接客力向上」。
スマートフォンの広がりによって店頭に求められるものが変化していく中で、iPod touchとiPadを導入することで接客力の向上に成功した東急ハンズの事例をハンズラボ株式会社代表取締役社長の長谷川秀樹氏よりお話いただきました。
▲ハンズラボ株式会社代表取締役社長・長谷川秀樹氏
以前はお客様に対して店頭の販売員の方が知識量が多く、販売員の知識の範囲内で接客することが可能でした。
しかしスマートフォンの普及によって、お客様は事前に口コミサイトやキュレーションメディア、SNSへの投稿などを見て来店することも増えてきました。
そのために店頭の販売員の知識だけでは対応できず、バックヤードにあるPCで調べてお答えするなど大きなロスが発生していたと長谷川氏。
また京都をはじめ観光地に近い店舗では外国人観光客も多いため、販売員がプライベートで利用しているスマートフォンの店頭持ち込みを許可してそれぞれのスマートフォンで翻訳アプリを使って対応してきたと言います。
そういった背景から、東急ハンズ全体で共通の業務端末としてiPod touchの導入を決定。
店舗専用の業務端末も様々な製品があるにも関わらずiPod touchを選んだのは、自社で開発せずとももともと無料で使えるアプリが多く、自社システムの開発もオープンソース上のため開発スピードをあげることができるといったことがポイントでした。
導入にあたって現場スタッフに必要な機能をヒアリングしたところ、一番多かった答えは「ネット接続」。
店頭でネットに接続できなければお客様と会話ができないという声が圧倒的だったと言います。
それ以外にも翻訳アプリや口コミサービスのアプリ、配送状況が確認できるアプリなど現場の声を聞きながら利用アプリを精査してインストールしています。
▲東急ハンズの業務用iPod touchにインストールされているアプリの例
「このように、無料ででているアプリをそのまま使えるのがiPod touchのいいところ。
これらを自社開発しようと思ったらお金も時間もかかりますが、iPod touchはアプリをインストールすればすぐに使うことができます。」
と長谷川氏は言います。
しかし3000台ものiPod touchに入っているアプリをどのように管理しているのでしょうか?
その秘密は携帯情報端末のシステム設定などを統合的・効率的に管理するMDM。
東急ハンズではCLOMOというMDMサービスを利用し、全端末のアプリインストールを制御しています。
これによって店頭の販売員から要望が上がったアプリを精査し、必要なものは一度に全販売員のiPod touchへインストールできます。
逆に許可のないアプリはインストールできないため、業務に関係のないアプリがインストールされるのを防ぐこともできます。
こうして現場の声を吸い上げつつ、「必要なアプリのみが全端末にインストールされている状態」を作り上げています。
またiPod touch導入のメリットとして、「研修がいらない」という点もあげられていました。
「はじめは導入研修も実施していましたが、もともとiPhoneユーザーの人は直感的に操作できるし、Androidユーザーも慣れれば研修なしで使えるので現場側から『研修は不要』との声があがり、今ではほとんど導入研修は行っていません。」
東急ハンズでの発注や在庫チェックは、業務用アプリとiPod Touchに簡単に装着して利用できるバーコードリーダー「AsReader」を採用。
こうした発注や在庫チェックなどの業務に関しては一部研修を行っているとのことでしたが、こちらも従来の業務用端末に比べて直感的に操作できる仕様にすることで研修コストの削減につながったと言います。
さらに長谷川氏はiPod touch導入後に京都店を訪れた際のエピソードを披露。
外国人のお客様へiPod touchを使ってバス路線について説明する販売員の姿を見て、iPod touchを導入してよかったと実感したそうです。
「これまでは店頭でお答えするのが難しかった乗り換えや観光名所への行き方といったことも乗り換え案内や翻訳アプリを使うことですぐにご案内することができるようになりました。
どうしてもPCでしかできない作業はこれまで通りバックヤードへ行ってPCで作業していますが、iPod touchの導入によってメールチェックや在庫チェックなどの簡単な作業は手元でできるようになりました。
これによって販売員が店頭にいる時間が増え、「お客様とのコミュニケーションのあり方が大きく変わった」ことがiPod touch導入の最大の効果です。」
▲iPadを活用したPOSレジのデモンストレーション。現在導入展開中で、都内近郊ではららぽーと豊洲ですでに導入されている
。
東急ハンズでは業務用端末としてiPod touchの導入だけではなく、POSレジ端末としてiPadの導入も開始しています。
これまでのレジ端末ではなくあえてiPadに変えたのは「POSをお客様とのコミュニケーションの場にしていきたい」から。
長谷川氏自身「会計を待っているときのどこを見ていればいいのかわからない気まずい雰囲気をなくしたい」と考え、会計中にお客様の方を向いた端末を用意。
会計中はお会計内容を確認できるようになっており、ゆくゆくはその画面にクーポンの提示したりお客様にあわせた情報発信を行う予定と言います。
会計を担当する従業員にとっても従来のレジに比べ、手順にあわせてボタンが出てくる仕様であれば「打ち間違いの削減」にもつながり、こちらも研修コストが圧倒的に下がったと長谷川氏。
これまでは返金などのイレギュラー対応時に慣れないスタッフが、お客様をお待たせしてしまうといったケースが発生していました。
しかしタッチパネルでの操作が多いiPadであれば必要な手順を踏まなければ決定ボタンが押せないなど、エラーを最小限に抑えることができるのがポイントです。
また以前は終業後の精算業務の際に入居している商業施設それぞれの精算フォーマットが異なるため手書きで書類を作成することが現場の負荷になっていました。
そこで商業施設ごとのフォーマットを端末にいれることでそれぞれのフォーマットにあわせて必要事項が入力され、そのまま印刷できる仕様にして精算業務を大幅に削減することに成功。
現在は限られた店舗のみの展開ですが、これから徐々に導入店舗を拡大していく予定と言います。
さらに今後は外国人観光客向けにWeChat PayやAlipayへの対応を進めたり、iPadに搭載されているカメラ・マイクを利用して架空返品を未然に防ぐ仕組みを作るなど新しい取り組みを計画しているとのこと。
ECの台頭によって店頭コミュニケーションの重要性が高まる中で、このように最新機器を活用した接客による顧客満足度の向上は今後ますます店頭の役割として求められていきそうです。
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