「この雑誌に載ると売り切れる!」と言われる二大雑誌「VERY」と「Mart」。女性を魅了するこの二誌は、同じ出版社・同じ年齢層がターゲットですが、読者の生態や方向性は全く違います。今回はこの二誌の比較から、最近のママたちの消費性向を探ってみました!
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雑誌カテゴリ:女性ファッション誌
創刊:1995年
発行部数:35万部
キャッチコピー:基盤のある女性は、強く、優しく、美しい。
VERYは今年21年目を迎える歴史ある女性ファッション誌。
ミドルエイジ誌の中ではずば抜けた発行部数で、出版不況と言われ女性誌全般を見ても唯一孤軍奮闘している雑誌といえます。
キャッチコピーにもある通り、家族を基盤としながらも自分らしくファッションや仕事を楽しむことを推奨。
誌面にも女性としての自分を楽しむというフレーズが度々登場します。
カバーモデルである井川遥をはじめ、畑野ひろ子や東原亜希、読者モデルから専属モデルになった滝沢眞規子やクリスウェブ佳子など、妻として母として一人の女性として憧れの生活を送る女性をモデルとして起用しています。
雑誌カテゴリ:生活実用情報誌
創刊:2004年
発行部数:16万部
キャッチコピー:もっと生活遊んじゃおう!
Martは2004年に創刊された生活実用情報誌。
同カテゴリのESSE(扶桑社、33万部)やサンキュ!(ベネッセコーポレーション、32万部)に比べるとやや部数は落ちますが、これまで節約や収納などのお得情報が多かった生活実用情報誌の中で「便利でおしゃれなもの」「ちょっといいもの」を取り上げているのが人気の秘訣です。
全国の会員の中からリアルタイムで今流行っているものをリサーチし、ルクルーゼや食べるラー油、塩麹などもMartから火がついたといわれています。
新興住宅に住む主婦が増える中で、Mart上で紹介された商品をフックにママ友とのコミュニケーションが増えるなど、地域に溶け込むための話題を提供する役目も担っています。
Martでは基本的に読者モデルの出演がメイン。実際の主婦たちの生の声が掲載されているため、共感を呼びやすいつくりになっています。
表紙に起用するモデルも専業モデルではなく食関係のコーディネーターなど、親近感のある女性が起用されることが多いのが特徴です。
※発行部数参考:日本雑誌協会
※2015年7月〜9月の発行部数をもとに算出
ちなみにこの二誌を発行する光文社はJJ、CLASSYの発行元でもあり、「モテ」「愛され系」といったコピーが並ぶ”赤文字系“と呼ばれる雑誌を得意としています。
これらの雑誌から”卒業”して移ってくる読者が多いVERYとMartが、共に「家族を大切にする」という共通したコンセプトを持っているのもうなづけますね。
▲自分自身だけではなく子供のファッションにも気を使うVERY妻向けに、人気ブランドのキッズラインが続々と発売されている。
VERY2月号の特集は「◯◯卒業でオシャレの階段のぼります!」。
出産直後から授乳卒業、エルゴ(抱っこ紐)卒業など細かに段階分けして、その時点で着られるようになるもの、できるようになることが紹介されています。
産休取得後に復帰したママも多く、仕事用のスタイルやお気に入りのヒール靴の紹介箇所はママ向け雑誌とは思えないほど洗練されています。
スナップページでも半数がヒールのある靴を着用しており、ママでもおしゃれを楽しみたい!という意識が見てとれます。
対してMartはスニーカーの特集ページなど、カジュアルで動きやすいスタイルがメイン。
ファッションページにも読者モデルが起用されており、着こなしのポイントや着まわし術がメインです。
MartはVERYに比べると専業主婦や週2、3回程度のパート・時短で働いている層が多く、近所でのママ友ランチや公園へのおでかけがメインのため、カジュアル寄りになる傾向があるようです。
▲Martでは読者の”リアル”な流行りもの、コーディネートを誌面に反映している。
Mart2月号の特集は「今年こそ!ムダをなくそうスーパーの買い物!」。
食材の上手なくりまわし方はもちろん、余った調味料や保存容器の活用術も紹介しています。
生活情報誌は賢く家計をやりくりすることがメインになりがちですが、コストコやカルディで購入した少し高めの調味料、そのままお弁当として持っていっても恥ずかしくない保存容器などちょっといい生活を提案しているのがMartの特長といえるでしょう。
料理以外ではニトリのファブリック雑貨やIKEAのフェイクグリーンの特集など、安く見せない丁寧な暮らしが重視されていることがわかります。
一方VERYは、オーガニックハーブを使った”オシャレな”風邪予防というページが。
また受験直前のご飯レシピは私立の中学受験を念頭に入れているVERY妻特有の特集ではないでしょうか。
一般的なスーパーであるオオゼキ派読者を取り上げたページもありますが、あくまでファッションメインでスーパーにいくときもオシャレに気が抜けないようです。
インテリア関連はひとつのお宅に密着して、注文住宅へのこだわりからインテリアのポイント、休みの日の過ごし方まで全体の世界観を伝えています。
VERYは独立して個人で仕事をしている女性を取り上げることも多く、収入を得つつも会社員に比べて時間の融通がきく新しい丁寧な暮らしを提案しているようです。
それぞれの特徴を知ったところで、気になるのはVERY妻とMart妻がどこに住み、どこで買い物をしているのか、ということではないでしょうか。
そこで今回、2月号に掲載された読者モデルたちの居住エリアをひとつひとつ数え、どのエリアが人気なのかを調べてみました。
なんとVERY妻の居住区域上位は東京都23区が独占。その中でも世田谷区がダントツ人気です。
さらにエリア徹底比較!高所得者はどこで買い物をする?でもご紹介した「世帯年収1,000万円以上が多いエリア」である世田谷区、目黒区、中央区がランクイン。
VERY読者の平均世帯年収は1,500万とも言われますが、確かにお金に余裕があり結婚しても子供ができても都心暮らしを謳歌する女性たちであることがわかります。
そんな都心派ママたちのおでかけ先は二子玉川や青山、銀座。
ベビーカーを押しながらでも歩きやすくキッズフレンドリーな二子玉川はもちろん、一人時間の息抜きとして青山・表参道に買い物に行ったり、歩けるようになった子供と共に銀座デートをするというのが彼女たちの楽しみ方です。
Martはもともと郊外住みの主婦層をターゲットにしているだけあって、神奈川県が上位2つを独占。
都心ではないものの、横浜市・川崎市も青葉区や高津区など高所得者が住む地域を抱えているエリアでもあります。
ちなみに4位には埼玉県さいたま市、千葉県市川市が続きます。
Mart読者の平均世帯年収は600万〜800万と言われますが、専業主婦もしくはパート・時短勤務が多い読者層の主婦たちは時間にゆとりがあり、比較的家賃が安い郊外に住んで可処分所得も高いため消費意欲が旺盛。
興味の向かう先がファッションから食やインテリアにシフトしているのが彼女たちの特徴といえるでしょう。
郊外派ママたちの人気おでかけスポットはららぽーと東京BAYや郊外の大きなイオン、ダイエーなど。
子供を連れての遠出が辛いママたちは、家の近所で買い物を済ますことが多いようです。
特に、一気に買い物を済ませられる大型商業施設はママの味方。
ちょっと素敵なインテリア、健康を意識した食材を買いに足しげく通います。
母であり妻であることを楽しみつつも自分自身のファッションや仕事も楽しむことを勧めるVERYは、これまで子供を産んだら諦めるものとされていたオシャレを楽しむことを全面的に肯定し、自分らしくあることの必要性を説いています。
自分でも働いて収入があるからこそ余裕があり、ファッションや美容への意識も高いのが特徴です。
保守的なファッションながら、”自分らしくあること”を大切にしている雑誌らしくシングルマザーやLGBTなどの特集も織り込まれているのが印象的でもあります。
逆にMart妻は母として、主婦としての生活を大切にし、日々の生活をちょっと素敵にするものにはお金を惜しみません。
食材のくりまわしは大切にしつつも野菜は産地直送のこだわりのものを買うし、外食は控えてもママ友とおいしいものを持ち寄ってホームパーティーをする。
お金をかけなくても満足いく暮らしをするというのがMartの価値観といえるのではないでしょうか。
そんなVERY妻・Mart妻にアプローチするにはどんな場所に出店すれば効果的なのでしょうか。
今回はSHOPCOUNTERからおすすめのスペースをご紹介します。
エリア | 広さ | 利用料金(1日あたり) |
---|---|---|
広尾 | 15㎡ | 55,000円/日〜 |
都会派VERY妻のおでかけスポットとして人気なのが広尾・恵比寿エリア。
特に落ち着いた大人のランチ・カフェスポットが多い広尾は平日・休日問わず多くのVERY妻たちが行き交います。
そんな広尾にある外国の街角のようなカフェは、以前VERY誌面でも紹介されたことがある人気スポット。
コーヒー片手に見ていただける気軽な展示会や、全館を貸し切ってのイベント、カフェとのコラボなど様々な使い方ができるスペースです。
エリア | 広さ | 利用料金(1日あたり) |
---|---|---|
勝どき・月島 | 60㎡ | 55,000円/日〜 |
大きな公園がいくつもあり、ららぽーと豊洲といった大型商業施設、週末のマルシェなど子供がいる若年層ファミリーに人気の豊洲・勝どきエリア。
豊洲がある江東区は子育て支援に力をいれていることで子育て世代に人気があり、Mart読者の居住エリアでも3位にランクインしています。
遠出よりも家の近くでのんびり家族と過ごしたいMart妻にアプローチしやすいのは、彼女たちの居住地の近くにあるナチュラルなスペース。
路面ガラス張りなので通りがかりでも入りやすい雰囲気です。
暮らしを大切にするMart妻に向けて、インテリアや雑貨、食品のポップアップストアやハンドメイドのワークショップはいかがでしょうか。
※本記事は2016年1月時点でSHOPCOUNTERが独自に調査・作成したものです。
各誌の公式な見解を示すものではありませんのでご注意ください。
<雑誌考察シリーズ記事はこちらから!>
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